「ほっ」と。キャンペーン

カテゴリ:愛しいクロコの思い出( 1 )

クロコのお話

クロコのこと。
今でも思い出すとせつなくなります。

クロコは私の家の裏路地に住んでいた野良猫でした。
ビルの谷間の裏路地には猫たちの世界がありました。
人間を警戒し、威嚇し、近寄ると逃げていましたが
それでもいつもお腹がすいていたのか、
ごはんをもらいにいつも家の裏で待っていました。

常に警戒して生きてきたクロコも、日に日に
私が近寄ることを許し、
ごはんを食べているのを目の前で見ていることを許し、
そっと頭をなでることを許し、
私とクロコは仲良くなりました。

どんな時間に帰ってきても、クロコはどこからかサーッと走って現れ
私の周りでゴロゴロしました。
私が出かける時には、道の角まで見送りに来てくれて私の姿をジーッと見ていました。

クロコがいつもよりしきりにごはんをねだる時がありました。
ごはんをくわえてどこかへ走って行く時がありました。
それからしばらくすると、クロコは可愛い子猫を数匹連れて来ました。

ちいさな、ちいさな子猫たち。
クロコは甲斐甲斐しく子猫たちの面倒をみていました。
猫の子育てって本当に感激することが多々あります。

c0053294_1411253.jpg



恋の季節の
クロコ
(写真手前は
タマオちゃん
というオス猫)








クロコの他にも近所には何匹か野良猫がいました。
子供を産んでも、あまり子育てをしないメス猫がいました。
その子供達のことまで、クロコは面倒をみました。
自分のおっぱいを、よその子供と自分の子供といっしょにあげていました。

子猫は可愛いです。見ているとほんとうに心がなごみます。
でも・・・外の環境は子猫にとって苛酷です。
交通事故、病気、猫を心良く思っていない人間からの虐待・・・。
悲しいですが、さまざまな原因でちいさな命が消えていきます。
何匹もの子猫を私とクロコは見送りました。

そんなとき、地域猫活動をやってらっしゃる方と偶然お知り合いになりました。
地域猫活動とは、野良猫の避妊去勢手術や生まれて行き場のない子猫の
里親探しなどをボランティアでやってらっしゃる素晴らしい方たちです。
無知だった私は色々と教えられることが多かったです。
その方々や色々な縁ある人たちと協力して、クロコやその他、家の周りの猫たちの
避妊去勢手術を行いました。

避妊手術をしたクロコはますます私に懐くようになりました。
親猫としての任務もなくなり、子猫に戻ったかのようでした。
クロコ!と呼べば返事もしてくれるようになりました。

毎日毎日、家の玄関の前に座っていました。
通りがかる人たちには「クロちゃん」といって可愛がってもらいました。

最後に産んだクロコの子供達は、里親探しをして、
暖かい家庭にもらわれて行きました。
裏路地に最終的に残った猫は、キキというどこからか迷いこんだサバトラの子猫とクロコでした。

c0053294_1352088.jpg




クロコと
キキです。









キキはクロコのことが大好きでした。
いつもクロコの後を追い、そばを離れませんでした。
クロコもよそから来た血縁も無いキキを認め、仲良くしていました。

寒い北風が吹く冬になりました。
クロコはたまに家に上がって来ました。
あたたかいストーブの前が好きでした。
クロコはもう10歳近いネコだったと思います。
野良猫にしてはかなり長生きなほうだそうです。
私はクロコを家の子として迎え、老後を過ごさせていこうかと思い始めていました。
でも、クロコが大好きなキキは、クロコがいなくなったらひとりぽっちになってしまう。
葛藤していました。
c0053294_1552153.jpg

その夜・・・クロコは私のひざの上に乗ってきました。
懐いたといっても、そこまでしたのは初めてです。
まんまるになって寝ていました。
可愛くて、可愛くて・・。
出会った頃は警戒してシャーッと言っていた子が、こんなにまで私に心を許してくれた。
この子が愛しくて仕方ありませんでした。
起さないようにそっとなでてやるとゴロゴロと言っていました。
しばらく私はクロコをずっと撫でていました。
でも・・・キキがお外で待っているよ・・・といって、その日もお外へ返しました。
クロコは聞き分け良く、寒い夜空の下へ消えて行きました。
クロコ、また明日ね~と、いつものように。

次の日・・・。
何故か裏路地には猫たちがいませんでした。
必ずもらいに来るゴハンも全く減っていません。
裏路地を歩き回り、探しましたが、何処にもいません。
何かおかしい。何かあったのだ。
私はそう感じていました。
クロコ・・・キキ・・・何処へ行ったの・・・?何があったの・・・??

心配で心配で、クロコやキキのことを案じ悲しくなる日が何日か続きました。
そして数日後・・・。

キキのか細い声が聞こえました。
どうやら、そうとう怯えているようで、なかなか近くに来ませんでした。
でも徐々に近づき、キキの様子をみると、体が酷く汚れていました。
触ると、油のようなものが手に付き、ベットリと汚れました。
匂いをかぐと、機械油のようなツンとくる匂いがしました。
こんな状態で毛づくろいをしたら、体に害になるのは必至です。
あわててシャンプーを含ませたタオルで何度も何度も拭いてやりました。
かなり油はベットリとついていて、なかなか取り去ることが出来ませんでした。

「キキ・・・クロコは??クロコは何処へいったの??」
キキはしゃべれません。
悲しそうな目で私を見て、怯えた声でキーキーと鳴くだけでした。

クロコをキキはいつも一緒でした。
きっとクロコもキキと同じ目にあったか、もっと酷いことになっているに違いない。
私は毎晩毎晩必死でクロコを探し回りました。
人間が普段入れないような路地裏まで、クロコの名前を呼び続け・・・。
あの油の匂いは何?・・・工事現場の油?車のエンジンオイル?何?なんなの??
第一、あんなに賢い猫が、自ら危険な場所へ行くわけが無い・・・。

少し離れた近所では、猫に毒餌をまくとか、猫さらいがあったとか、色々な噂もありました。
実際、悲しいことですがクロコの子供も毒で死んでしまった子もいました。
毒を食べてしまうほど飢えている子も、お外にはいるのです。

何があったの?
人間のせいなの?
もし、人間を信じたがゆえの何かの事故だとしたら・・・悲しい。
ごめんね、守ってあげられなくって・・・。
いろんな思いが毎日頭をよぎりました。
でも事実としてクロコはもういない・・・。

答えは闇の中です・・・。
クロコは、私のひざの上でゴロゴロ言った夜を最後に私の前から消えてしまいました。
キキのことをよろしくね、と言ってクロコは消えたような気もします。
クロコが家の子になったら、キキはお外でひとりぽっち。
クロコは野良としてですがキキよりもいっぱい生きたので
まだ若いキキに家猫の座を譲ったかのような気もしてしまいました。
キキはクロコが居なくて毎日寂しそうでした。
もうきっとクロコは戻って来ないんだよ、キキ。
寂しいね。私も寂しいよ・・・。

そんな寒い冬が終りに近づいた頃、
キキは家の猫になりました。

c0053294_1571989.jpg






まだ外にいた頃のキキ







キキには今でも語りかけます。
クロコは何処にいったんだろうね。
きっとお星様になったんだよね。
クロコの分も、長生きしてね。
キキは、今でもお外には決して出たがりません。
きっと怖い目にあったからでしょう。

クロコはきっとお星様になって、キキや、暖かい家庭にもらわれていった
子供たちのことを見守っていることでしょう。
クロコのこと。それは私にとっても永遠に消える事の無い、
ちょっぴり切ない思い出としてこころの中で生きつづけています。

外には色々な猫ちゃんたちがいます。
人に懐いてゴハンをねだる、甘えること を知っている子もいれば、
人を信じられなくて、夜な夜なゴミ箱を漁るしかない子もいます。
同じ猫で生まれても、色々な運命の子がいます。
どんな子達もこの世に生を受けた以上、必死で生きています。

外で猫さんに出会ったら、やさしい言葉をかけてあげてください。
彼らは、話せないけど、こちらの気持ちやこころはわかります。
あなたが優しい言葉をかければ、
あなたも、猫も、しあわせになれる。と私は思います。


最後まで読んでくださってありがとう。 j-lovin
[PR]
by j-lovin2 | 2005-02-10 00:19 | 愛しいクロコの思い出